1月23日、仕事から帰って”清介”;と呼んだが返事はありませんでした。一人寂しく息を引き取ったのです。 66年も過ぎた今でも、兄のボクを追いかけながら野菊やタンポポが咲き蝶々が舞う満洲の原っぱを走り廻っている清介、昌子、清彦の姿が今も時々走馬灯のように瞼に浮かんできます。
そこは南崗屯官舎のはずれにある満州が原でした。
遠くには黒龍江(アムール)の黒い流れとブラゴエスチェンスクの街が見えました。
翌日、父は棒切れのように凍りついた清介を背負い、昌子と清彦を埋めてある場所をつるはしとたがねで凍った土を砕き掘り起こして3人を並べて埋めなおして、土饅頭は一つにしました。