黒河(満州国)からの逃避行物語

大きなソ連軍の戦車来る

夕方、轟音と地響きの大地震が来て大きな戦車が現れました。それも天皇陛下の玉音放送を聞いた広場に!(北安省公省官舎広場)

たくさんの人々が物陰から恐る恐る見ていました。

日本人の男がソ連兵の男狩によってマンドリン(自動小銃)を突き突けられて両手を頭にして連れてこられ戦車の側に座らせられて小さくなって震えていました。

ソ連兵の手にはマンドリン、マンドリンの台尻にはドイツの「卍」が刻み込まれており、その両手や足には日本人から略奪したウオッチ(腕時計)が幾つもはめてあり、ウラーと雄叫びを出し勝ち誇っていました。

満州が原に大きな赤い夕日が落ちてゆく景観は滅びゆく満州、いや日本そのものでした。

滅びゆく赤い夕陽の満州 T34戦車ソ連製 重量32t  8.1m×3.0m
滅びゆく赤い夕陽の満州 T34戦車ソ連製 重量32t 8.1m×3.0m

キルディングの汚れたソ連軍服のソ連兵の腕や足首に日本人から略奪した腕時計を高々と上げてウラーウラーと雄たけびを上げていた。

いよいよ戦後の混乱・騒乱が始まり、ソ連兵による略奪、強姦としたい放題が始まりました。

毎日のようにソ連兵が各住宅に、押し入ってきました。最も多かったのがウォッチ、ウォッチ、(腕にはめた沢山の腕時計を指しながら)マダムダワイ、マダムダワイ(握りこぶしで一指し指と中指の間に親指を覗かせるHな仕草)でした。

母はその度に子供を膝に抱きかかえ、首を左右に振り震えていました。